■連続ワークショップ2014
「演技」とは何でしょう。
少しでも舞台や映像での「演技」を経験したことがあれば、その難しさに心当たるはずです。戯曲に描かれているのは私たちの普段の姿。言葉の意味さえわかればリアルに演ずることなど難しくないはず。ところが人前に立ち、相手役に向かって口を開いた途端、気づかされるのは自分自身がどれだけ不自由かということ。動きはぎくしゃく、目線は泳ぎ、感じるのは思いと動作が一致しない気味悪さばかり。その気味悪さを解消するために感情を追い、表情を作り、声を張り上げ、結果、リアルな姿からどんどん遠ざかっていく。それでも、これでは不味いと感じる時はまだいい方で、思い切り声を張り上げた感情の爆発を気持ちがいい、やり遂げたなどと思っていたら、戯曲にどれほど深い意味があっても、観客には演技する俳優の姿ばかりが目につき、感動のかけらもなく、客席の知り合いに頑張っていたねと言われるのが関の山です。
いい演技、俳優の存在感、とはいったいどこにあるのでしょうか。
ドラマに書かれている人間は、当たり前ですが、その世界で生きています。台詞を喋るということも感情の発露ではなく、世界に触れるための方法であったり、何かをあざむくための嘘であったり、他者と関係をむすぶ行為としてあるものです。これは存在の仕方に左右されるもので、観客の心を動かすものも、ここにしかありません。この「関係」と「存在」をどう読み解くか。そこに俳優の感性が求められるのです。
キンダースペースの連続ワークショップでは、テーマ別にテキストを監修し、一貫してこの課題を参加者とともに探ってきました。
十七年目の今年も、以下のテーマで、戯曲のいちばん深い所への旅を企画しています。
東西の戯曲作品の中から一部を抜粋して読み解き、劇団員が相手役となり、会話を組み立てアンサンブルを探り、最終日には小さな発表も予定しています。
キンダースペースが現在も様々に行っているワークショップ、エクササイズも、紹介いたします。
※募集は各回ごと。基本、一年以上の舞台経験者を対象としておりますが、ご相談に応じます。
※「マスタークラス」
今回初の試みとして、Vol.48とVol.49を合わせて受講いただける方には、一本の戯曲作品を取り上げ、課題となる何場面かのスキットを実践しながらトータルで作品世界を読み解いていくという試みを行います。今回はギリシャ悲劇を書き換えた現代の作品を取り上げる予定です。詳しくはお問い合わせください。
募集は各回ごと。こちらへ↓
■連続ワークショップVol.48「いつかどこかで」〈10/7-18〉
■連続ワークショップVol.49「戯曲という世界」(11/18-29)
基本は一年以上の舞台経験者とさせていただきますが、ご相談に応じます。