劇団キンダースペース レパートリーシアター Vol.50
k#97
作/ジョン・マレル 訳/吉原豊司 演出/原田一樹
後援/カナダ大使館
上演時アンケートより | |||
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☆遮蔽のビニールは、もう不要なのではないか? 公演の完全性を優先してもいいのではなかろうか。 数ヵ月前に民藝の同演目を見ました。 このときには、原田のコメントのようなものは見えてなかったように思う。 目を開かれました。単なるフィクションではなく、 実話の集積は“銃後の女”の実態を伝えてリアリティーあり。 立派な反戦劇。初日お疲れ様、ありがとう。(70代男性) ☆この作品は民藝の上演を見て、是非見直したいと思っていたのですが …正に「反ファシズム戦争がまた起きて、遠く離れたこの国でも戦争がとにかく終わって欲しいというのは卑怯」 という声が上がっている中、正にすぐ側で目撃する迫力を感じました。 ここで「戦争が何を人の心にもたらすか」が描き尽くされており、誰が何と言おうとハリーやイーヴの教えた子達、 そしてマルタを苦しめるような人にはなるまいと思えたのです。 「責任者」役の方は民藝の方にはない存在感と迫力がありました。(50代男性) ☆何かを待つということで、パレードを当てはめたのかと感じる話でした。 前回も拝見しましたが忘れているところもあり、新鮮な気持ちで観劇しました。(女性) ☆席のビニールカーテンが途中で気にならなくなった。 榊原さんが美しくて、悲しくて良かった。衣裳も素敵でした。(40代女性) ☆班長さんに自分を見た気がしました。(40代女性)
●カナダ演劇の名作として日本でも多くの劇団、ユニットが繰り返し上演している。 最近では劇団民藝や演劇企画イロドリノハナが上演した。 舞台は第二次世界大戦中のカナダ。 名誉欲や自己承認欲求に駆られ、男たちは勇んで戦地に応召。 残された女たちは、おしゃべりと歌とダンスで「銃後」を守っている。 キャサリン(古木杏子)は家族に相談もせず軍隊に志願した夫を恨んでいる。 マルタ(松井結起子)はドイツ系移民のため、周囲から色眼鏡で見られるため、 戦争に積極的に協力している。 ジャネット(榊原奈緒子)は病弱な夫が兵役を免れてアナウンサーをしているため、 その負い目を跳ね返すために国防婦人会でリーダーシップを執っている。 マーガレット(瀬田ひろ美)は戦場に送った息子たちとの関係がうまくいってない。 イーヴ(小林もと果)の夫は狂信的な戦争賛美者だ。 それぞれに事情を抱えた5人の女たちが、包帯巻きしながらするおしゃべりから浮かび上がる 「戦争の顔」。 戦争が終わり兵士たちの凱旋パレードを見つめる女たちの目が愛国心とはいったい何なのかを訴える。 「カナダでも徴兵制度が始まったんです。 いつでも好きなときに誰でも好きな若者を戦場に駆り出せるようになったのですよ。 農村の青年だろうと、法律事務所の書記だろうと学生だろうと…」 このセリフが日本にとって他人事ではない時代がすぐそこに来ている。 キンダー版は二幕ものを一幕にして1時間45分に収めた。 小さなアトリエだが、原田演出は役者の出入りを工夫し、その空間をうまく活用した。 〈演劇ジャーナリスト 山田勝仁様〉 ●あっという間のエンディング…充実した時間でした。 時機を得た演目、舞台芸術の意義を問う素敵な時間、眼前( ^∀^)で目撃してしまいました。 キンダーの女優さんそれぞれの魅力を堪能、涙しながら…演者の方も安定の立姿! 良いものを観させていただきました。 「パレードを待ちながら」は確か以前にも観た記憶はあるのですが… とても新鮮な感覚で見終えることができ来れて良かったなと思っています。 瀬田さんいい感じの歳になってきて(^ν^)それでもかわいらしさや、擦れてない感じ… あなたの手に入れた? より磨かれた? 魅力ですね。ステキだと思っています。 〈佐藤三樹夫様〉 ●まずは、やはり出演者。 キンダーお馴染みの顔が勢揃いして、それでもう心が踊りました! それぞれしっかりと役を演じていて引き込まれました。 松井さんの舞台は初めてでした。 凄く堂々としていてマルタ役も良かったです。 あの強さには感心しました。 でも、ああでもしなければ、 ドイツ人だからと差別を受ける彼女にとってはそうせざるを得なかったもしれないと思いました。 ジャネットの国への献身さは、夫への思いからと観ているものには後からわかるのですが、 みなそれぞれのつらい思いを抱えながらでも自分たちではどうすることも出来きないつらさを持ちながら、 生きて行こうと言う姿には心を打たれます。 ジャネットのあの行為も責めることは出来ないと思いました。 見ていてつらかったのはマーガレットでした。早くに夫に死なれ息子もいない。 その悲しい気持ちに打ちひしがれて、表情はくらく老けこんでいる。 彼女を瀬田さんが見事に演じていて、最後あんな形で終わるとは あまりにも辛かった。 その反対にキャサリン・イーブはつらさをバネに明るく振る舞う。 そうでもしなくてはやってはいけないとばかり、はしゃいでる。 しかし、みな、戦争の中で、巻き込まれて苦しんでいる姿が映し出されいるように感じました。 今、ウクライナ戦争真っ只中です。 この芝居を観ていて、ウクライナの女性やロシアの女性もみな悲しみ苦しんでいるのだろうか、と感じました。 戦争に巻き込まれた女性を舞台で演じたみなさん! みなさんの演技はどーんと私の心を打ちました! 防衛大学でも上演したとのことですが、若い人に観てもらう機会が 出来てわたしも大変嬉しいです。 最後に…… 瀬田さん 老けこんだ寂しく悲しくて怒りを抱えた女、凄かったです。 古木さん 色っぽくて、めちゃかっこ良かった。クライマックス、 呑んだくれて泣く姿は観ていてつらく、私まで泣いてしまった 榊原さん ジャネット最高でした。皆に煙たがられても信念を貫く姿 良かったです。 小林さん 可愛かったあ! ひとつひとつの仕草が、可愛くて、可笑しくて。 松井さん あの堂々とした態度、観ていて気持ち良かったです。 今回の芝居は決して他人事では済まされない話しだと思いました。 〈尾形智子様〉 ●観る前は「~待ちながら」という題名から、あの芝居を頭に描いていました。 果たしてパレードはやって来るのか?不条理の流れかと思いながら。 舞台はカナダのカルガリー、登場したのは5人の女性、第二次世界大戦戦場となったヨーロッパを描いていました。 女性の影に寄り添う男たちの姿を見ながら、戦争の不条理を感じていました。 今まさにロシアのウクライナ侵略戦争が行われている中で、観ていると不条理な戦争の行方を感じ、 まだ侵略の軍靴の音が響き渡っていました。5人の女性の隙のない素晴らしい舞台でした♪ 〈日高のぼる様〉 ●戦争中の女5人だけの芝居ですが、話題は男たちです。 つまり女性を通して戦争が、男が、そして、自身が語られるのです。 時には慰め合い、時には団結の一員になり、時には罵り合います。 この女性達に終戦のパレードは来るのでしょうか。戦争の傷は? 原田一樹はゾッとする幕切を用意していた。 〈小山内秀夫様〉
●2017年についでの再演だ。 かなり演出が変わっていた。やはり同じものの焼き直しでは再演の意味がないという気概が感じられた。 ひとり役者が入れ代わり、新しい劇団員松井結起子ちゃんが参加。 きっと大先輩たちに混じって大変だったと思うけど、とても頑張ってた。 戦争は前線で戦う男の後ろには、女たちがいる。そして女たちにも物語がある。 ウクライナの女性たちに思いを馳せた。 キンダーが、この作品を、この時期に再演することにした意図を聞いてみたかった。 〈栗田かおり様〉 ●1時間40分があっという間に経ちました。 政情不安の今、他人事ではなく身に詰まされて涙する場面も多々ありました。 5人の女優さんの素晴らしい演技のハーモニーを堪能させて頂きました。 〈安井恵津子様〉 ●歌あり、ダジャレありで重くなりすぎず、しかし内容はしっかりと考えさせられ、 心に訴えるものが沢山あり、とても楽しく充実感のある作品だったと思います。 5人の演者の方々のセリフも明快で、どんどん引き込まれました。 1時間40分という上演時間がとても短く感じられました。とても良かったです。 〈男性〉 ●5年ぶりの再演なのですね、 初演は2017年。初演の時もすごく良かったのだけど今回はまた違う捉え方もできてやはりとても良かった。 物語の舞台はカナダ。 登場人物は5人の銃後の女性たち。 『この芝居に男は1人も出てこない。これは同時に男たちしか出てこないということでもある。 軽挙妄動、図に乗り、意地を張り、自己中心、偏屈。女たちはそんな男たちの「戦争」への「過度の反応」に振り回される。』 (これは当日パンフに書かれた、演出 原田氏の言葉) 女優陣の瑞々しい演技が魅力的でした。 大きな不安や重圧、気苦労をどう受けとめてどうその時、その場に居るのか 1人ひとりの細かい表情や呼吸からその人物の経験や染み込んだ生活が垣間見える、 そんな瞬間がたくさんあって本当に面白かった。 瀬田さん演じるマーガレットの表情が良くて。マーガレットにすっかり懐柔された客席が(語弊あるかも。笑) 舞台上と同じ温度になる感じも心地良かった。 いや女優陣がみんな素晴らしくて 本当にいる「生粋のこういう人」を選んで連れて来て舞台に載せたんでしょ?と観客に思わせたら勝ちですよね。 今回初めて芝居を拝見する、新入劇団員の松井さんも線の強い演技で良かった。(歌も上手かった…) 彼女たちの「待っている」ものを、観客も共に待つのだけれど、 やがてやってきたものは 「思ってたのと違う。」 戦争によって捻じ曲げられたものもあるけれど、待ち始めた時とは何もかも変わってしまった事を 観客も自分の記憶や経験から、もしかするとうすうす気付いている。 終わったー!これで解決良かったね、シュパーン(←コンサートのクライマックスとかで銀テープが飛ぶやつ) とならないことを知っている。 印象的だった、パレードを待つ5人の女たちのあの表情。 客席で私たちも同じ顔をしていたかもしれないな、と後から思いました。 いい芝居でした。 〈松村千絵様〉
〈山本洋三様〉
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