劇団キンダースペース レパートリーシアター Vol.52
k#100
構成・演出/原田一樹
私たちは誰でも病気で、発症時間の長短の問題だ、
と言ったのはオランダの精神病学者で、
精神病というものは時代時代に必要とされてきた「能力」であると唱えたのは
日本の精神科医だ。
そういえばギリシャ悲劇に描かれるカッサンドラには、
見えないものを見てしまう能力があったし、
源氏物語の「葵」には、肉体を離れた精神の優位が描かれる。
今、「病気」とされている妄想や幻覚も狩猟時代、
自然やバッファローと語り合うのに必要だったのかもしれない。
私たちの脳の構造は数十万年を数えるこの時代に培われたものだ。
現代に続く農耕文化は数万年に過ぎない。
「自然」を攻略して来た私たちは「病」も支配下に、と考える。
が実は「病」は私たち自身の内にある。
これに耳を澄まさないではいられない。
〈原田一樹〉
もうすぐ初日「無料」ワークショップ(9/24)
原田一樹によるアフタートーク(10/12・10/14)
を開催します。詳細をご覧ください。
キャスト
「エドワード・バーナードの転落」
作 : サマセット・モーム
瀬田ひろ美
「ある統合失調症患者の証言」
脚本 : 原田一樹
関戸滉生
「夏の葬列」
作 : 山川方夫
丹羽彩夏
〈Bプログラム〉
「断崖の錯覚」
作 : 太宰治
林修司
「ブライトン街道にて」
作 : リチャード・ミドルトン
西本亜美
「黄色い壁紙」
作 : シャーロット・パーキンス・ギルマン
中根瑠理
日時
10/10 火 19:00 A 🔺(お問い合わせください)
10/11 水 19:00 B
10/12 木 14:30 B ◉ ☜おすすめ
10/12 木 19:00 A
10/13 金 14:30 A ×満席
10/13 金 19:00 B
10/14 土 13:00 B 🔺(お問い合わせください)
10/14 土 17:00 A ◉ ×満席
10/15 日 13:00 A ×満席
10/15 日 17:00 B
◉印の回は終演後原田一樹によるアフタートークがございます。
お席にてそのままお待ちください。
チケット
・活動支援チケット 4,000円
(稽古場の維持、環境整備にご協力いただくチケットです)
・前売券 3,000円 <当日券3,300円>
・二回観劇割引券 5,700円(お一人で二回ご観劇なさる方対象)
・市民割引券 2,500円(川口・蕨・戸田の三市に在住・在勤の方)
・養成所割引券 2,500円 (大学・専門学校・演劇養成所生徒対象)
・学生割引券 1,500円 (高校生以下対象)
※キンダースペース後援会《賛助会 友の会》 無料
※未就学児童の入場はお断りしております。ご了承ください。
ご予約
小さな劇場ですので、必ずご予約をお願いいたします。
お名前・連絡先・希望日時・枚数・チケット種類をお伝えください。
予約の変更はお早目にご連絡ください。
劇団キンダースペースオフィス
TEL 048-252-0551
FAX 048-255-4342
E-MAIL post@kinder-space.com
劇場
西川口キンダースペースアトリエ
スタッフ
美術/原田一樹
照明/中村智也
音響/坂本奈都実
舞台進行/森下高志
チラシデザイン/古木杏子
協力/劇団キンダースペース後援会
文具のヤマモト
CASK AND STILL
そば処二幸
ワークユニット2023
制作/劇団キンダースペース
もうすぐ初日!無料ワークショップ
「原作を読む会」&「もうすぐ初日!ビフォアトーク」
参加すれば芝居が2倍楽しめる
▪️「原作を読む会」
9月 24日(日) 14 :00~
上演作品の一部を参加者と劇団員とで読みます。
原作に触れ、声を出して読むことで、
観劇する面白さをより味わっていただこうとする試みです。
▪️「もうすぐ初日!ビフォアトーク」」
9月 24日(日) 15 :30~
上演に先駆け、作品の背景、演出意図、演劇全般について、
演出家・原田一樹が多角的にお話します。
会場/劇団キンダースペースアトリエ
参加費/無料
※要予約
お客様の感想
⚫Aプログラム
関戸さんの熱演はまさに「昨夜の発見」でした。『金閣寺』のモノドラマが見てみたくなりました。
(佐藤勝彦様)
⚫Aプログラム
たまたま、撮り溜めてあったマチスのBSでの番組~タヒチで魅せられた弛緩した時間とブルーのグラデーション。溢れる光に包まれて生きることの至福…
人の幸せとはなんなのか…
そんな感慨を再びお芝居の中に見つけるとは…思わず大きく頷いていました。
上昇志向だけが生きる全てではなく、いかに緩やかに満たされて生きるのか…相入れない価値観…切なくも考えさせられる小品でした。また魅せてくださいね。
もう一人の自分との間で揺れる…もう一人の自分に気づいてしまうワタシ。決定的な価値の揺らぎ~
一人のニンゲンの中にすでに用意されている多面性、多様性?
原田氏の着眼の鋭さ更に深く勢いのある様子…嬉しい想いであの場所にいられました。宜しくお伝えください。
(佐藤三樹夫様)
⚫A プログラム
令和5年10月12日(木)モノドラマアンソロジー「もう一人の私」 @西川口キンダースペースアトリエ
本日のAプログラム 山川方夫 作「夏の葬列」(丹羽彩夏)、原田一樹 脚本「ある統合失調症患者の証言」(関戸滉生)、サマセット・モーム 作「エドワード・バナードの転落」(瀬田ひろ美)を観劇!
お三方の"語り劇"に惹きつけられました。構成・演出の原田一樹さんの言う、今回のテーマ「個人の内面の不可知」から「何か」を🔍探しながら…。
漠然とですが、都合の悪いことから目を背けるとか、他者を通じて自分を知ると云うような、人間は複雑な生き物だなぁ~と?!
最後の最後、瀬田ひろ美さんのイザベルの言葉「可愛そうなエドワード」ではなく、可愛そうな自分だろ~と、心で突っ込みつつ!
アンソロジーとは、一般的に「選集」や「編集物」を意味する。特定のテーマやジャンルを纏めたもの!
(石井信生様)
⚫A プログラム
キンダースペースの作品自体はじめて拝見しましたが、三作品とも充実した内容で、感銘を受けました。モノドラマの制作の、しんどさや一方では製作所、砦としてのアトリエならではの特色など、いろいろうかがえました。
三作品拝見して、中島敦の『山月記』が何故か脳裏に浮かびました、、世の中の流れから外れたものたちの立つところは、あの山波の最中なのだろうか、などと。(どの作品にも、遠景近景に海が置かれていましたが)
取り急ぎの感想、失礼しました。
楽までの皆様のご健勝、ご安全をお祈り申し上げます。
(富塚研二様)
⚫Bプログラム
劇団キンダースペースが、モノドラマを続けているのは知っていたが、観るのは今回が初めてでした。俳優が、自分一人で物語を描くのだが、この劇団は朗読とか一人芝居とかは違って、演者は舞台中を埋めるように動き回る。舞台の四段ある床だけではなく客席横まで移動する。一人の俳優が、舞台空間を物語で埋めて、観客に届けるのが独特である。おかげで観客は空間と演者が一体となった物語を受け取る事になる。俳優は、会話と説明の部分が入り混じった物語を一人で届けなければならない。最小限の小道具と、ふさわしい衣装はあるが、孤立である。微かな効果音と照明の変化が、僅かに助けてくれるだけである。
俳優にとっては苦行である。
タイトルが語るように、私たちの中にあり、自分にしか見えない世界が、語られる。それは歪んでいるようだが、本人が確信することで、現実の方が揺れ始める。
このモノドラマは、画家が描く絵が完成したと終止符を打つのに似て、俳優の研磨が続いた後に本人が、評価を下せる。
構成・演出の原田一樹に耐え応える、素晴らしい俳優達が、この劇団にはいる。
(小山内秀夫様)
⚫Aプログラム
誰の心にでも居るであろう「もう一人の私」
丹羽彩夏「夏の葬列」(山川方夫作)
お目々がパッチリの丹羽ちゃん。
モノドラマにおいて、視線、眼力がいかに大事かを改めて感じました。
心の奥に蓋をしてあったパンドラの箱を開けてしまった私。
ドキドキしました。
関戸滉生「ある統合失調症患者の証言」(原田一樹作)
一樹さんがひさびさの書き下ろし。
文字通り患者の証言。挑戦的な取り組みだなあ。ドラマではないので、やや観念的で難しい。
ただ人間が「Who are you?」と問われた時のことを、自分なりにいろいろ考えてみる時間となった。
瀬田ひろ美「エドワード・バーナードの転落」(サマセット・モーム作)
婚約者イザベルを残し、2年の約束でシカゴからタヒチへ転勤したエドワード。
タヒチも海がとってもキレイなとこだった。(こないだ行ったアイツタキ島の近く)
エドワードが現地で会社を辞め、タヒチで暮らすことを選択する。心配して訪ねてきた友人に「シカゴで人と競争する生活ではなく、心豊かに暮らすことを選ぶ」と。うんうん、わかる!!
友人が「ココナッツの工場を作って。。」と言ったことに対し、エドワードは「ここの人はココナッツの機械は使わない」と。
まさにこないだのアイツタキ島で参加したココナッツの剥き方アクティビティ。
棒を削って、ココナッツに突き刺して剥いてた。
タヒチに残ることにしたエドワードの気持ちがよくわかった。
友人からエドワードの様子を聞かされ、最後に婚約者が呟く「可哀想なエドワード」。逆説的に響いて面白かった。
(栗田かおり様)
⚫Aプログラム
1番目は「夏の葬列」。役者の丹羽彩夏さんは登場したところから全力。力強く目を開いて、最後まで主人公の心の声を、ずっと抱えていた苦悩をまっすぐに演じてくれて気持ちよくみさせてもらいました。
2番目は「ある統合失調症患者の証言」。関戸滉生さんは「友人の話」としてはじめる。思わず吹き出してしまいました。永遠と「友人の話」を語りはじめるが漫談のようで、ずっと笑って聞いていました。関戸さんがいろんな作品で演じているのを観ているのですが、毎回、演じている役が関戸さん本人のようで~そして、今回のこの役はピッタリ!と思って前のめりでみていました。それでずっと笑っていたのかも。ところどころ突っ込みもいれたくなるようなセリフもあったし。この病気を患っている人は他から「変」と思われがちで距離をおかれてしまいがち。でも関戸さんが演じたこの患者さんは親しみやすく、少し愛嬌もある。この病気の症状のある1例にすぎないのだけれど、とても優しい気持ちになれました。
3番目は「エドワード・バーナードの転落」。瀬田ひろ美さんは本当に素晴らしい。登場人物全員を、ひとりで何役も演じる。衣装も髪型もそのままで、声や立ち方、歩き方、手や指の動かし方,3脚の椅子を少しずつ向きを変えたり動かしたりしながら、それぞれの人物、一人一人の気持ちを表現してくれる、大大大満足のサマセットモームの作品でした!
毎度のことながら舞台の演出も、客席の作り方も、決して広いスペースではないのにとても居心地のよい空間でした。バックは変わらないのに、イモ畑になりポプラの木立に広がる芝生。最後はタヒチの海岸。この劇場に行かなければあじわうことのできない感覚。ありがとうございました。
Bプログラムもみたかったなあ。みていたら今回の「もう一人の私」のパズルが完成するんじゃないかなあ。
(小久保直美様)
⚫A・Bプログラム
「夏の葬列」(作:山川方夫)ー丹波彩夏、「ある統合失調症患者の証言」(脚本:原田一樹)ー関戸滉生、「エドワード・バーナードの転落」(作:サマセット・モーム)ー瀬田ひろ美。
Bプロ「ブライトン街道にて」(作:リチャード・ミドルトン)ー西本亜美、「黄色い壁紙」(作:シャーロット・パーキンス・ギルマン)ー中根瑠理、「断崖の錯覚」(作:太宰治)ー林修司。
モノドラマは1人の演者による「演劇空間の創出」として、劇団代表の原田一樹氏が作り上げた表現による舞台。1人で短編小説を単なる朗読ではなく、全編読み上げながら芝居として演じていきます。わたしは初めて観て以来すっかり取りつかれました。
日本の近代文学に加え、今回は半分が海外文学。原田氏の新作も。
2日に渡り観終わり一番感じたことは、いろんな病巣を持つ芝居を観ていた思いがしました。この世界の言い訳にもならない病状の不条理。19世紀から近代、第二次世界大戦後、現代まで1人の人が生きる楽しさ、苦しさを社会状況の様々な変化の中に置かれた人間の生き方を感じました。それにしても太宰治は良く心中に出会し、最後も心中で終えている、井上ひさし氏が「人間合格」と評した作家がなぜ死ぬことに執着したのか、今回の作品ではありませんが、観終わっても謎のまま残りました。参加された演者の皆さん、スタッフの皆さん本当にお疲れ様でした。次の舞台も期待しています。
(日高のぼる様)
⚫キンダースペースのモノドラマ『もう一人の私』観た方がいいけど頭のタガが一個外される感じです。私、とは何か、主客の意識の狂う中に現れる静かなのに悲鳴のような言葉があると思います。 照明、舞台装置も美しかったです一人の人が暗い部屋の中にいる、ということが何よりも際立つ感じでした。
⚫Bプログラム お三方とも、もう一人出てくるのかと思わせる。一人で演じていることを忘れさせる表現力だった。
(G.T.様)
⚫Aプログラム 「夏の葬列」「ある統合失調症患者の証言」説得力がすごいです。「ある〜」は患者の気持ちとはそういうのなのか……。現実逃避もここまでなのか……と私には恐く。「エドワードバーナードの転落」は生活の豊かさが心の豊かさと比例してしまっている私達の反省もありました。
⚫Bプログラム 話の展開が気になって、夢中で観ました。
⚫Aプログラム 情景が本当に鮮やかに見えて、どの作品もとても面白かったです。
⚫Bプログラム
ひとり芝居を初めて観た。不思議な三作だった。言葉の抑揚で物語が出来上がっていくのが面白かった。自分よがりな判断では、相手のことも理解できないものだと思った。「黄色い壁紙」のあとの音楽、マッチしていた。(女性)
⚫Aプログラム
表情の変化、よく研究されていると思いました。(女性)
⚫Aプログラム
モノドラマはいつ観ても感動します。
夏の葬列 衝撃的だった。ある~内容がとても難しかった。エドワード 文明のなんたるかを考えさせられた。
⚫Aプログラム
一人芝居の難しさをひっくり返すような芝居でした。メッセージが伝わりすごく面白かったです。
⚫Aプログラム
アフタートーク最高。
⚫Aプログラム
とてもとても素晴らしかったです。「見えないものを見せる」というのはこういうことか! 目からうろこが…。言感動しました。「もう一人の自分」という題名を考えたとき、なんだかもう一個心に響くものがありました。
⚫Aプログラム
多くの気づきを得られました。モノドラマというもののもついくつかの基準、演者が物語のディテール、登場人物の一人一人の個性、その表現を着実に把握し極限を高めるまでの努力が聴き手に伝わる、否、伝えることが可能であるということが、その一つです。
⚫A・Bプログラム
夏の葬列は表情の変化がとてもよかった。
エドワード~は、幸せや人生、今の自分についてすごく考えさせられました。
ブライトン 最後の展開が読めず面白かった。
黄色い壁紙 中根さんの演技力がすごかったです。話も好みでした。