◆それは「渋滞」から始まった。
またしてもこれは、キンダースペースのメンバーの、普段の心掛けの悪さから来るものなのか?
三ヶ月も前から幹事さんが苦労して段取りをつけてくれたワイワイ会当日の朝は、ザーザーの雨降り。おまけに三連休の初日だから仕方がないとは言え、「なんじゃこりゃ?」の大渋滞。
キンダーアトリエに集合した劇団員一同は、「うふふ…泳げるかね?」なんてニヤニヤ笑いしながら、内心「あ〜りゃりゃ」と思っておりました。
7時に西川口アトリエを二台の車に分乗して出発、途中、ランボーちゃんこと泉龍太の乗用車「わがままイタリア娘」も合流し、更にしんちゃん・冴ちゃん・kumaさん御一行様ともサービスエリアで合流し、互いに「今どこ〜??」と連絡取り合いながら、目的地の岩地海岸に到着したのは、な・なんと15:30過ぎでありました。
前日夕方から泊まり掛けで用意をしたり、早くから集合していた、縄文人さん・hitoちゃんと仁美ちゃんのダブルhitoコンビ、哲ちゃん、unoさん、K先生、ケントさん、Fさん、ひらまりちゃん、その他友の会の新旧メンバーの方達は、さぞや退屈し、寒さに震え、待ちくたびれているのではないかと、焦りに焦っていた私ですが、いざ岩地の海に着いてみると、みなさんルンルンで海を楽しんでいらっしゃるではありませんか!?
実は途中車の中から、幹事である縄文人さんに「今日は海には入れますかね?」と恐る恐る電話をしたら「やりますよ!! シュノーケリング!! シーカヤック!! もう準備出来てますよ!!」といつものハイテンションな声が返ってきて、車内中ぶっ飛んだのでしたが、いざ海に着いてみると、なるほど、どうせ海に入るのに雨なんかあまり関係ない。
これは水着になるっきゃない!! ちゅうことで、私も恥も外聞も捨て、ぶっとい足出して水着になりました。何年ぶりだろう!!!????
アウトドアの御大将達が揃っているので、テントは出来ているは、道具は全て揃っているは、早や、釣りに出かける人はいるは。本当に手際がいい。私達は全てお膳立てしてもらって、「さあ、遊びなさい」と言われたようなものでした。幸せ!!
◆初体験
今回のツアーのテーマの一つは「シュノーケリング」。みんなにも「シュノーケリングするんだよ、道具持ってきてね」と偉そうに伝えていた私。別に、自分が一秒も水に浮けない人間だってこと、忘れていたわけではありません。チャレンジしてみよう…という気構えだけはありました。だってライフジャケット着てれば浮くんだし、あとはみんなに付いて行けばいいんだしょ?? てなもんで…。
で、ひらまりちゃんが私に、まずは泳ぎの指導(もちろんライフジャケット着てます)をしてくれました。
が、私、ひらまりちゃんの「じゃ、手放してみようか?」という言葉に、心はうなずいているのだけど身体が拒絶反応を示す。ひらまりちゃんの手と私の手は、まるで瞬間接着剤で付けたように、二度と離れることはなかったのでした。四十ヅラ下げて、涙と鼻水を流して抵抗する私に、ひらまりちゃんは女神のように優しく「わかった。大丈夫。うき輪につかまって、行こう!!」
と言ってくれました。浜辺に残され「おまえなんか、ここで寝てろ!」と言われても仕方ないようなテイタラクの私に最後まで優しく教えてくれて、ひらまりちゃん、ほんとにどうも有難う!!
◆感動
てなワケで、泣いて喚いて迷惑をかけ、「じゃあ、カヤックにつかまって行こう」ということになり、みんなにフォローしてもらいながら、カヤックのお尻につかまって初めてのシュノーケリングに出発しました。
深さ10メートルの海。初めて見る別世界。足が地面につかなくなっているという恐怖は、コバルトブルーの水と、煌めく魚たちを見た途端に無くなりました。そばにひらまりちゃんやランボーや、みんな付いていてくれたし、ひらまりちゃんなんか、ものすごく深く潜って、にこにこ笑いながらそばまで浮かんでくる。それはもう「人魚」のようでした。私、自分の身体の下方向に、ああいう風に人間を見たの初めて。とにかく、この年にして初めて体験したシュノーケリングは、もう言葉では表せません。
◆シーカヤック
二日目に縄文人さんに二人乗りで乗せてもらい沖まで行ってもらいました。漕ぎたかったけど「けさくさんが漕ぐと邪魔になるから」とオールを持たせてもらえませんでした。漕ぐとまた面白いらしい。
劇団員はみんなこのカヤックにハマっていました。海の大将達に言わせると、古木はかなりセンスがいいらしい。二人乗りのカヤックで元香と二人、小学生のようにキャッキャ喜んでた。白沢は「かなりへばってるな」と心配されていたが本人はケロッとしたもので「面白かったあ」と帰ってきた。平野は「もう戻ってこい」と言うのに遠くまでニコニコ笑いながら乗ってっちゃって後でみんなに怒られたし、新参者の斉藤はちゃっかり、美人のちひろちゃんを乗せて、二人乗りで沖まで出ていっちゃった。
原田は泳いでいて眼鏡のレンズを片一方無くしたそのあと、難しい方のカヤック艇に乗って、沈(ちん)してたけど、もう片方のレンズは無事だったようだ。
◆堪能
二日目にいらしたかよこさんとちひろちゃん親子。最初かよこさんが「泳がないで浜辺で本を読む」とおっしゃった。確かにかよこさんにはそういうたたずまいが似合う。が!! 「私、泳げないし…」とおっしゃった途端、けさくの目が「きらり〜ん(☆。☆)
」と光った。
「かよこさん、泳げなくてもシュノーケリングは出来ます。行きましょう! あの魚を見ないと損します!! 絶対後悔します!!!」(昨日泣いてた奴がなにをエッラそうに…!!!)
というわけで、かよこさんとちひろちゃん親子、K先生、そして私がシュノーケルを楽しむ為に、三艇のカヤックを操縦してもらい、それぞれつかまって出発しました。かよこさんもK先生もとっても満足気に、声も出さずに海面に見入っていました。
「良かった良かった」そう思った途端、自分の置かれた状況にゾッとしたけさくでした。私が捕まっている、原田が漕いでくれてるカヤックは、バランスをとるのが難しい一番細みのカヤックで、「もしかしたらバランスくずして沈するかもしれない」という不安があるもの。深さ10メートルの海でバランス崩された日にゃ、あたしゃパニクッて、ライフジャケット着てても沈むかもしれない!! そう思って周りを見ると、他のカヤックははるか彼方に居て(ホントは5M位しか離れてない(;-_-;))めちゃ不安になる。声も出せずにカヤックに捕まる指にただただ力が入るのみ。昨日は、ひらまりちゃんがしっかり私に付いていてれたことを思い出す。「私、ひとりで居る〜〜〜!!!」(ホントは近くにみんな居る(;-_-;))
ふと岩場を見ると、しんちゃんがヒトデのように岩にへばりついて遊んでいた。「しんちゃん!! しんちゃん!! 助けて!!!!」
その声を聞いた操縦者原田がびっくりして振り返る。
原「どうした!?!?」
け「…いや、恐くて…」
原「アホか!!」
でもしんちゃんは優しく、一生懸命泳いで来てくれて、しっかりそばに付いていてくれました。
「魚よ、お前たちはそんな深いところで、人生を謳歌してるのか?? エライなあ…」しみじみ魚を尊敬し、二日目のシュノーケルも無事終了!!!
◆食堂、そして温泉
縄さんの御用達の浜辺のお店が、また旨かった。私らみんなで行くと店に入りきれず、二交代制で昼食を取りました。サービスで出してくれるきびなご(メニューには「きみなご」と書いてあった)焼きがこれまた旨くビールによく合う!! そして「海の幸ラーメン」は貝と海草たっぷりの出汁ウマラーメンでした。
さらにその食堂の前、汀から30mのところにボートが置いてあって、それはなんと!「露天風呂」なのです。みんなでボートの中で温泉を楽しむ。海で冷えた身体がじわじわと指の先から暖まっていく快感。しかし、水着を着ているとは言え、今日初めて会った異性を含む皆さんと、決して広くもないボートに芋洗い状態で入ってる図は、なんか奇妙で笑えました。でも、海に居る時よりいっぺんに仲間意識が強まった気がした。不思議なもんです。
◆釣り
Fさんは岩場で釣りを楽しんでいました。釣り道具もきちんと用意してきて…だけど、私達がパシャパシャやってる岩場では、あまり釣れなかったみたい…。ちいちゃな小魚を持って岩の上でニコニコ笑って私達に見せてくれました。すぐにリリースしたみたいだけど。
哲ちゃんとunoさんはなんと魚群探知機まで付いたゴムボートを用意してくれて、T君S君兄弟を連れて沖まで釣りに出てくれました。そして確実に釣果はあった!!!
釣ったのはカワハギとふぐ。戻ってきたS君の得意満面な顔!!! そのかわはぎは斉藤が捌き、夕食にきちんとした「刺身」として供されました。旨かったよ!! まじで。
T君 S君達子供らには、ほんとにいい思い出になったみたい。お母さんがすごく喜んでました。
そうそう、二日目の朝にはK杉さんがカニを捕ってきて、それは味噌汁の具になりました!!! ダシが出てて旨かった!!!
◆宴会
料理担当の原田シェフと白沢シェフの指示のもと、BBQやカレーやらちゃんちゃん焼きやら、ねこじゃらしからの差し入れの刺身やらピッツァやら、おにぎりやら、みなさんから差し入れの酒の数々…。
【宴会】はそれはそれは充実したものでした。
会場となったBBロードは、普段はバイク乗りの人がふらっと立ち寄っても大丈夫…という、ベッドが22台、大型風呂があり、楽しいオーナー金さんに、ホントに可愛い奥さんユカちゃん、アイドルのK太と、犬のJ太という家族がやっている宿舎。ウッディーな暖かいデザインのアットホームな宿です。
庭にはBBQ用のテーブルセット(オープン当時縄さんがプレゼントしたものらしい)がセットされ、手作りの庭には手作りのブランコ、少し下りて行ったところには川が流れていて、朝の散歩はとても気持ちが良かった。テレビのアンテナも少し下の露天風呂までしか来ていないから、テレビも入らない。俗世の垢を落とすのに持ってこいの、山間のほんとにいい宿でした。
宿では、初日にはK杉さんと連れの男子高校生、二日目には縄さんの同級生のO先生も合流し、食事の用意の間には、皆さん、下の露天風呂に行ったり(ここでは何か楽しいことが繰り広げられていたらしく、噂が噂を呼び、ゼシ来年はわたしたちも行きたい! と強く願う。特に男子劇団員)、海ではきちんと挨拶も出来なかった方達がお互いに改めて交流する場になった。
そして、乾杯の挨拶と、改めての自己紹介。なんと縄さんがわたしたち劇団員のプロフィール用紙(友の会入会申し込み書付!)まで用意してくださって、至れり尽せり。
老若男女、本当に楽しい宴会は、初日も二日目も留まることを知らず…、
……そしてこの後、オーナーもビビる阿鼻叫喚のカラオケ大会へと続いていくのである。
◆楽しくて…死んじゃうかもしれない…
今回の呼び物の一つに「プロ歌手の歌がタダで聞ける」というのがあったのだが、プロ歌手・冴ちゃんは昼間の渋滞がたたったのか、BBQ焼き担当をしてくれたのがキちゃったのか、パタンキューで寝てしまい、カラオケは「ド・素人」の集いとなった。何よりオーナーの金さんがノリノリで歌うし、奥さんのユカちゃんはアイドルにしてもいいようなルックスと歌のウマさで皆を魅了する。縄さんはいつものダンディーさでポケットに手を入れて歌い、女性人気をワシ掴みにしていた。宴会だけ参加してくれたママねこさんの愛くるしい歌、たかちちゃんもすっげえ上手い!!!
二日目のカラオケタイム、BBロードには魔物がとり憑いていた。
けさくも平野も仲上も「司会」をタテに取りセキを切ったように歌う。そしてサンダーライダー坂上の奇妙な【踊り】が始まり、これが【間違い】の始まりだった。
みな【踊り】が付かないと歌えなくなった。というより、【歌】が始まると【踊り】たくなった。奇妙な【振り】の数々(ワタシもアナタも振付師)。
・ママねこさんの本格的な手話付「おばけなんてないさ」。
・O先生の「十九の春」に合わせた沖縄風踊り。
・ケントさん、ノリノリの \(・●・)/ワーイ((・●・))エム((・●・)/シー /(・●・)\エ!。
とにかく、座ってられない状況の中、肩を組み、足を踏みならし、飛び上がり、拍手をし、もうめちゃめちゃ踊り狂う…。オーナーは一緒に飛びながら、本気で「床」を心配している。
この騒ぎの中、度胸よく熟睡するしんちゃんをまん中に歌い踊る。知らない人が見たら、しんちゃんは「捕われた獲物」にしか見えない。
わたしは何故か「本能」という言葉を思い出す。みんな!! どうしたんだ!!! 何かがキレたぞ!!!! 冷静に! 冷静になるんだあ!!!!! そんな思いが「本能」と拮抗し、私はどんどんハメをはずす。ああ、快感……。(@。@;)
◆満天の星
二日目の騒ぎは最高潮に達し、ようやく正気を取り戻した私達は、デッキに出て夜風にあたる。酒で飽和状態になった脳みそに涼風が心地よく、自然の風が鼻からお腹までさわやかに通り抜けて行く。
ケントさんが、プロ仕様の天体望遠鏡を持ってきてくれていた。台所から出てきた私に、サンダーライダーが、「瀬田さん、星です!! 星!!
」と子供のような目をして叫ぶ。
宿の照りを消してもらうと肉眼でもすごい数の星が見える。都会っ子の若者たちには、本当に感動だったようだ。天体望遠鏡を通して見ると、またこれがすごい。星の名前を教えてもらい、満天の星空の元、天体講習。特に、紙細工のような土星の輪にはみんなびっくりしていた。みな一様に言う言葉「土星って、ほんとにこういう形なんだ…」
◆あれこれ
※ この宴会の後、更に、うちの若手たちや、縄さんや、ケントさんは居間に残ってラーメン食ったり濃い話をしたりしていたらしい。なんちゅうパワーじゃろ??
※ 犬のJ太は騒音に悩まされ、夜中に触りまくられ、写真を撮りまくられ、カマイまくられ、三日目の朝見たらゲッソリ痩せていた。(ウソ)
※ 斉藤は、S君からの貢ぎ物のカワハギを三枚におろした途端に熱が出て、阿鼻叫喚のカラオケ大会の間中、バンの中でうなされていたらしい。
※ サンダーライダーは本気で溺れて、足ひれを海の中に置いてきて、お世話係の仲上が取りに行った。
※ 浜辺で繰り広げられた野球大会、サッカー大会は楽しそうだった。特にK先生やケントさんが参加していた野球大会は、途中からかなり「真剣」入っていた。
※ 最終日の朝食のあと、かよこさん手作り陶器の争奪戦「常念杯」が催され、じゃんけんのツワモノ共がゲットしていった。キンダーは取れんかった! 残念!! かよこさん、ありがとう!!
◆後遺症
このワイワイ会の後、カキコミやメールやはがきなどで、「笑い過ぎた」「筋肉痛になった」「だるい」「疲れがとれない」「仕事をする気にならない」「社会復帰できない」など多数のメッセージを参加者からいただきました。本当にお気の毒で、第二回が果たして催されるのかが心配です。
◆感謝
hitoちゃんがちひろちゃんの掲示板で、【劇団員の方のすばらしいとこは、一人一人すごく個性が強いと思った、で全員輝いていた。ビックリした。元気いっぱいで、舞台に立ったらどんな芝居をするのか見たくなった。】と書いてくれました。
もしそうだとしたら、それは絶対に今回いらしてくれた沢山の素敵な参加者のお陰です。「人が人を呼ぶ」。素敵な、現・友の会会員の人たちが、素敵なお友達を誘ってくれたから、わたしたちに輝きが反射した。気兼なく楽しませてもらった。そして、hitoちゃんを初め、皆さんわたし達以上に、充分、個・性・的!!!
そして今回、タイムスケジュールは勿論、レンタルカラオケや宿の手配、参加者のリストアップ、ごはんや酒の心配まで、とにかく全てをやってくれた縄文人さんが、最近KINDER版に書いてくれた文章。
【キンダーに必要なのは、経済的な余裕が第一だと思う。商業ベースでなく一本筋の通った主張をする劇団は日本には少ない。商業ベースの劇団ですら経済的に厳しい状況にある。芝居もヨットも、日本は発展途上国だ。それを寂しく思う人が少ないのは何故だろうか。
友の会は、ささやかながらキンダースペースの経済的、精神的な支えになれる事を目指してます。最近、次々と友の会の仲間が増えてます。ここ一年で倍増の勢いです。キンダーの芝居を観て感激して入会する方が殆んどです。そして劇団を中心にしたキンダー友の会が真の友人を得る場で有る事は素晴らしい事実です。】
第一回キンダースペース海のワイワイ会、参加者の皆さん、差し入れをくださった皆さん、色々と御心配・御協力をいただいた会員の皆さん、本当に有り難うございました。早くも第二回のプランが新会員の方から持ち上がっています。嬉しい限りです。
第一回のこの楽しさを、ずっとずっと継続出来たらすばらしい。
そして、「ワイワイ会」以上に、演劇公演活動で皆さんを感動させられるよう、稽古に励みます。
本当に本当にありがとうございました。
劇団キンダースペース けさく(瀬田ひろ美)