小野寺敏子さん

いやあ、観に行って良かったです。内容も音響も背景も良くて、物語にどんどん引き込まれました。
女性は孤独に弱いもの、どんなに愛されていても、自分が孤独だと感じたなら、それは不幸せを作る第一歩のような気がしました。そして、夫婦とは互いに自由な時間が少しあったほうが上手く行くみたいに感じながら観てましたよ。
俳優陣の見事な適役も、多いに楽しめました。
ありがとうございました。
なにより、コロナ対策が確実に安全にされていて、立派だと思いました。


松村千絵さん
芝居、良かったです。
物語の核心となる事件が冒頭のシーン。
あとはそれに関わる人物たちの心理を会話の中でなぞっていきます。
私は
1人の人物に焦点を当てて、心を寄り添わせ、その行動の正体を見極めようと、じっとそこばかりに集中していたのですが
ふと場面転換したあるシーンで
別の主要登場人物の眼差しが強烈に気になって
その人物の心理でこの物語を見たときに
それまで滞っていた水が急に流れ出したような感覚。
あっ!と思わず声が出そうなくらい
見えなかった何かの輪郭が浮かび上がってきそうな感覚に包まれました。
「この戯曲は、この人の物語なのかもしれない。」
物語の静かな調べの中で、観客の心の中にちょっとした覚醒が起こる。あぁ、演劇だなぁとじんわり余韻を感じながら劇場を出ました。
ベテラン俳優陣の演技、良かったなぁ。
芝居をしない、というところに凄く近かったんじゃないかと思う。
対策の1つとしてなのでしょうが、アトリエには広めの舞台スペースと少ない客席数。
まるでプライベートシアター?のような贅沢な空間での観劇を楽しめました。
そんな配席ももしかしたらこのご時世である今だけかも。
本当にオススメです。


小久保直美さん
やっぱり 観に行ってよかった
以前にも迷ってキンダーの演劇を見逃して後悔したことがあったから 思いきって
予定を入れて観に行ったけど
よかった素晴らしい。出演者だけでなく、全員で造り上げている まさにOneチームの芸術だった。
感想はまだ書けてないけど、コロナ対策は十分にされているし、それは入退場のときだけでなく、演劇中も それぞれのメンバーの日常も。だから きっと大丈夫。舞台と客席の間の透明なスクリーンも 演出的にも効果があったしよかった!
何回も通いたくなるなあ。


山本洋三さん
★澄月堂雑録★

「手紙」劇団キンダースペース@キンダースペースアトリエ(西川口) 

 2020.11.1
 キンダースペースの俳優たちの成熟を痛感した。ベテランは、まさに脂ののりきったという感じだし、新人は実力を確実に身につけたという感じだ。最初から最後まで、隙なく緻密に構成された舞台に、演技の破綻や逡巡がまったく見られない。充実の舞台だ。
 観客数を20名に限定しているのに、奥行きもたっぷりとった舞台と客席の間には、感染防止のシートが垂れ下がっているが、それすらも効果的に見せてしまう舞台美術や照明の見事さ。そしていつもながら、繊細で奥深い音楽。平常時なら隣の人と肩を付き合わせ、足も思いきり縮めて坐るのに、前も横もたっぷり余裕のある椅子に腰掛けて見ることのできるのはむしろ申し訳ないくらいの贅沢だ。
 さまざまな制約や不安の中での上演だが、いつにもまして感動の深い舞台を作り出した役者さんたちには(特に若い役者さんたちは)、観客の方々からの「よかったよ!」とか「頑張ったね!」という言葉と笑顔こそが糧なのに、感染防止のために、そそくさと帰らざるをえない観客の後ろ姿を見送るしかないのはほんとうに気の毒に思ったけれど、それでも、その声を心の中で聞き、その笑顔を頭の中に想像してください。ほんとによかったです! 楽日まで、突っ走ってください!


小山内秀夫さん
2020年11月4日、キンダースペース(西川口)の『手紙」を観劇させて頂いた。
いつものアトリエが狭く感じるほどに、コロナ感染予防をし、しかも観客席は20名弱での苦心の公演である。
開演前から明け放された舞台は、オレンジの照明の中で。籐椅子や、麻織りの絨毯、大きな葉の観葉植物などに、目の荒いレースカーテンが施され南国風である。風通しを必要とする室内だが、舞台と観客は感染予防のため、透明なビニールシートで塞ぎられ、観客までは風は届かない。
劇が進むにつれ、時間が逆行し、時間が止まり、風どころではなくなる。風が天井の換気扇や、貝殻のツリーで起こる箇所もあるが、平穏の中ではなく。心の揺れが大きいことを物語っている風に変わる。
ラストはこの風が嵐の様に聞こえる。でもビニールシートで塞ぎられた観客には風は吹かない。代わりに、劇を共感せずに平静に見つめる態度を要求される。
「原田一樹」演出はコロナのビニールまで装置の一部にしているのか。
レズリーを演ずる「瀬田ひろ美」は圧巻である。終始風に揺れるが如く不安な役をハンカチやレースを使いながらも最後まで揺らいでいる女を演じていて、観るものを不安にする。観客が風を感じるのは彼女からである。
11月8日までだが、多くの方に見てもらいたい秀作である。


栗田かおりさん
芸術の秋
ここから芸術の秋が続く。
第一弾は劇団キンダースペースのアトリエ公演「手紙」。
ワークショップでお世話になっている劇団だ。
劇場に入るなり、なにかが起こることを予感させるワクワクする空間だった。
サマセット・モームの「手紙」
1時間45分というステージを一気に見せた。
冒頭のシーンの演出は、長くキンダーを見ているが初めてかと思う。客席を瞬間に引き込む。
ベテラン俳優陣の安定した演技に、若手の成長が加わり、深みのある舞台だった。
そしてマレーシア、シンガポールといったアジアを感じさせる音楽。物語に流れるガムランの楽器の音が登場人物の心の鼓動のようだった。
そうしたことが相まって、西川口の小さな劇場が広く奥行きのある空間に感じられた。
客席を半分にし、検温、消毒、ステージは透明のシートで仕切り、場面転換の度に換気とコロナ対策万全の舞台。芸術の灯は消してはいけない。


中由美子さん
わたしは空想妄想が時空を駆け巡り言葉遊びが飛び交うケレン味たっぷりの「アングラ芝居」が大好きで、紅テント黒テントに憧れて富山の田舎から上京した演劇少女だった。。。50年経ってもその嗜好は変わらず(笑)
だけれども。。。決して相入れるはずもない、何処までも生真面目で硬質な舞台を創り続ける『劇団キンダースペース』の芝居に悔しいほどに惹かれてしまうのは。。。何故なんだっ
このまま行けば自分的アカデミー舞台賞は今年もキンダーに贈ることになりそう(笑)
昨日、西川口の同劇団アトリエにて『手紙』を観た。
観終わってとてつも無い高揚感で言葉にならず、眠れぬ夜を過ごしてしまった。
台本がめっちゃ面白い。。。「翻訳・翻案 原田一樹」とあったので、演出の同氏の卓越した手腕にまずは脱帽
主人公の銃の発砲で幕が上がり、いきなり舞台は緊迫感に覆われる。
ここから既に目には見えない「糸」が幾重にも舞台上に張り巡らされ、その糸が効果音一つでピンと張り詰めては照明の変化で緩んだり、吹き込む風、燻る紫煙といった具体的効果によって糸は揺らぎ始め、終盤に至っては観客席も主人公と共にがんじがらめに呪縛されている。。。音響・照明・効果・装置の全てが緻密に計算された積み重ねとすれば、またしても演出の『原田マジック』にやられてしまったっ
そして主人公を演じた瀬田ひろ美嬢。よく「渾身の演技」「迫真の演技」というが。。。彼女はただ『Mrs.クロスビー』としてそこに居た。。。生身の確かな存在として!
知的で上品で嫋やかでありながら底知れぬ何かを秘めた女性。。。瀬田嬢自身の投影なのだろうか、演技など到底及ぶはずもない人としての魂に恐ろしさを感じた。
兎にも角にも理屈抜きで面白い極上のお芝居に出逢えたこと、心から感謝します。ありがと〜キンダースペース


佐藤三樹夫さん
キンダースペースのアトリエ公演、「手紙」原作、サマセットモーム。
見慣れたアトリエ公演ながら、その緊張感と演技の肉薄感は随一と思われた。
透明シートで仕切られてはいたが、アクトエリアと客席が一体化した不思議な空間!
見えない奥行きと、気配としての広がり。まさに受け手の想像力を喚起させるコロナ禍ならではの、透明シートマジック? 照明も装置もプラスαな効果を発揮して、贅沢な演劇体験が用意されていた。
しかも、シート越しであっても至近距離で体感する、役者の気配、息遣い特に主演の瀬田の熟成した存在感は圧巻であったと、取材メモ的に語ることも可能だが
いち演劇ファンとして
あの環境下で、最高の場所と時間を用意していただいたことに、感謝と称賛の拍手を贈りたい。
ありがとうございました。
貴方たちは素敵でした。


栗田章さん
地元川口にあるこの劇団とは古いつきあいになっています。このコロナ禍最中での公演はさぞ気苦労があったものと思います。お疲れ様でした。
芝居は、ベテランと若手がいい感じて絡んで絶妙でしたw
今回一番のインパクトは、古木杏子による中国未亡人。和田啓によるテーマ音楽とともに出てきたときはその美しさに息をのみましたww
しかも、台詞が全部中国語w
楊貴妃という人はたぶんこんな感じだったのではと思いますw
ストーリーはモームの作品には必ずオチがあるということで、最後でまたなにか展開を期待しつつ終わってしまうという、なんとも粗忽なことになりましてw

女房曰く「落語ぢゃないんだから」。



【伊藤洋さん】
先日は「手紙」の舞台を見せていただきありがとうございました。大変面白く拝見しました。
こう申してはおこがましいですが、キンダースペースの俳優も、まだばらつきはありますが、全体としてとてもうまくなってきたなと思いました。
特に今回はハワード・ジョイス役の森下高志、オン・チーセン役の杉山賢の二人が光っていましたね。拍手を送りたい。
さて芝居「手紙」ですが、原田さんの演出でいつも思うことですが今度の場合もやはり空間の使い方がうまかった。狭い空間に花道をつけて出入り口にしたことも苦肉の策だったのでしょうが成功していたと思います。会場に入ったときに、ここはこんなに広かったかなと思ったほど広さを感じました。
 モームのこの芝居をぼくは全く知りませんでしたので、余計に興味深く見ました。劇全体としては、夫人レズリーの殺人事件の動機探しみたいなものですよね。劇作品自体が非常にドラマティックに作られているから、きっと演出も役者の演技を抑え気味にしたのかもしれませんが、もう少し全体にメリハリが欲しかったと感じました。もっと瀬田さんの演技にも起伏があったほうが手紙の存在がくっきりとしただろうと思います。手紙の場面がほかの場面と同じレヴェルになってしまってうまく浮かび上がらなかったのです
 いや、こんなことを言い出すと限がありません。今は貴劇団のご成長を喜び、祝福したいと思っています。
 お元気でなお一層の貴劇団のご発展を祈っています。    


【Y.I.さん】

レズリーの業が良かった
恋人も、恋人の彼女も、夫も、夫の友人の弁護士も、全て裏切り
でも

気を留める事もせず
最後まで自分だけを愛し
自分の居る場所を心配し
そして怯えて
レズリーにとっては
自分に降り注いでいる陽が陰った事を嘆き、陽をふさいだ雲をはらっただけなんだ
そんなレズリーが哀れでもあり理解もする
世の中にはそんな人は大勢いる気がする。
周りの人達の苦悩も良かった。
余韻が残った芝居でした
面白かったです