西川口・劇団キンダースペースアトリエで
劇団キンダースペース レパートリーシアターVol.45
『Dipped in Love〜愛につつまれて〜」
(作=マーサ・B・ジョンソン、翻訳=淡野桃子、演出=原田一樹)
何十年もご案内をいただきながら、原田さんの演出作品は観ていても、おそらくアトリエに伺ったのは初めて。
今回の作品は3つの異なる文化を背景にした女性たちの友情の物語。
アメリカで知り合った3人の女性。アメリカ人のサラ(榊原奈緒子)、インド人のマヤ(深町麻子)、日本人のエリコ(小林もと果)。
サラは外科医の夫と結婚、養子をもらうが夫はサラに無断でもう一人養子を迎え入れる。
マヤはインドに戻り結婚するも、家父長制の強いインドでは妻は夫の従属物に過ぎない。
エリコの結婚相手はアメリカ人男性。2人の子供を授かるが、夫の両親は大の日本人嫌い。結婚式にも出席せず、孫の親権をひそかにうかがっている。夫への不信感を募らすエリコ。
三者三様の結婚生活はやがて抜き差しならないところまで追いつめられる。
会話劇というより三人の心情表出を描いたモノローグドラマといった方がいい。
中央の小さなスペースを舞台に、その四方を取り囲む客席。小さなアトリエなので俳優たちとの距離がほとんどないのと同じ。その分、演じる人たちの心の動きがダイレクトに伝わってくる。
1時間25分という短い時間だが、3人の女性たちの受けた心の傷、そしてそれを跳ねのけていく自立への意志が見事に活写されていた。
いかにもインド舞踊が似合いそうな深町の抱擁力、理知的なアメリカ女性の榊原、翻訳家と家庭を両立させようともがく小林。それぞれ女性の視点で語られる現代社会の矛盾は男性社会への批判でもある。
ほかに、林修司、関戸滉生、宮西徹昌。
ただ、必要な音以外の環境音、生活音などの効果音は不要かと感じた。
また、それぞれの夫やウエイター役で男優が出演するが、それもそぎ落として女優3人だけの舞台にした方がより緊密になったのでは。まあ、それぞれのシーンは観客へのリラックスタイムということか。