「パレードを待ちながら」 感想 インターネットより


●劇団キンダースペース、パレードを待ちながら。演劇はできたものを壊し、また壊したものを作り直すような活動だと。しかして努力は尊い。知り合いの女優ばかりの芝居。だからこそ持ち物を抑えながら、新しいものを目指したチャレンジは想像に難くない。皆好演。そして良い本良い上演。(真田真様)


●見事な舞台。時のたつのを忘れて見入ってしまった。さすがに鍛え抜かれたキンダースペースのベテラン女優たち。心地よい緊張感のある濃厚なセリフのやりとり、ふっと力の抜ける絶妙な空気感、キンダーの芝居では珍しい歌、どこをとっても、最近のキンダーの充実ぶりを如実にしめす舞台だった。
何よりも、それぞれの女優たちが、今まで培ってきた力を思う存分発揮して、楽しそうに、生き生きと演じているのがわかって、見ていて楽しかった。こんなふうに、自分たちが心からやりたいと思う芝居を、自由に、といっても様々な苦労はあるだろうけど、それでも「できてしまう」ってことはすごいことだ。
それにしても、第二次大戦下のカナダのおける「銃後」の生活がどんなものだったかについて考えたこともなかった。それぞれの国に、それぞれの「悲劇」があったことを今更ながら認識した。こういう芝居によって、「時代」や「国」や「民族」の実質的な中身をぼくらは知り、そして内側から理解することができる。演劇の力であり、演劇の効能である。
ラストシーンは戦慄的。ぼくらはいったい何を「待っている」のかを鋭く問いかける幕切れで、この芝居が過去のものではなく、まさしく「今」の芝居なのだということを実感させる。
パンフレットに原田さんが書いている「待つ」ということの意味。シモーヌ・ヴェイユ『神を待ちのぞむ』のことも思い出されて、もういちど考えてみたいと思った。
まだ初日を終えたばかり。必見の舞台である。5日まで。ご用とお急ぎのある方も、是非、西川口へ足を運んでください。(山本洋三様)


●テーマがテーマなので、演じる方は勿論、見る方もすごくエネルギーのいる舞台だったと思います。
私は今回最前列で見させていただいたので、尚更迫力があり、とても引き込まれました。
いつもより客席も近く、時折通路に座って演じられていたのも印象的でした。時々役者さんが近すぎてドキッとしましたが(笑)、そのぶん微細な表情もよく見えて、大変楽しませていただきました。
劇中に歌を歌うのも初めて聞いたのですが、皆さんよく通る声をされているので、聞いていて気持ちがよかったです。しかしながら、各個人にどんな思惑があれ、戦時中はたくさんの我慢を強いられて、足並みを揃えなければ生きていけないということも伝わってきて、聴き入ると同時に悲しくもなりました。
いろいろ考えたり役の感情に引っ張られたりしながら見てたので、多分ずっと眉間に皺を寄せて見てたと思います...。皆さんの集中力なら大丈夫かと思いますが、もし目が合った時に私が険しい顔をしてたせいで気が散ってしまってたら申し訳ないくらい見入ってしまいました(笑)
また、第二次世界大戦下でのヒトラーについては中高の授業で習ってたので、戦時中に嫌がらせを受けた話などを聞いて、観劇しながら学生の時にビデオで見た映像記録などを思い出していました。
戦時中の各国の動きなどが会話の中に盛り込まれていたので、内容も伝わりやすかったです。戦争が、女性側というか、登場人物たちにはどう写っていたか、どう影響していたかという視点で見たことがなかったので、新鮮でした。これまでただの情報でしかなかったものが、ストーリーを帯びて記憶に残る舞台だったと思います。
また先々週の原田さんのお話でもありましたが、現在の日本と北朝鮮問題にリンクする部分もあり、ぞっとしました。そうした「当事者になり得る可能性を提示する」といったメッセージも込められているとしたら、まんまとハッとさせられた気分です。
また登場人物の個性も強烈で、思わず笑ってしまったり、つられて泣いてしまったり、関係性など考えながら頭を使って観ていたので、仕事終わりに残っていた僅かな体力を全て費やしてしまい、最後はへとへとでした(笑)
でも気持ち良い疲労感、そして充足感を得られました。
とても大変な舞台をお作りになっていますね...。
これからまたどんどんよくなるのかと思うと、千秋楽が見に行けないのが残念でなりません。
最後まで頑張ってください。(菊池美穂様)


●第ニ次世界大戦末期のカナダのカルガリーが舞台、戦争のなかの困難な時代を生きた「銃後の女たち」の日常の葛藤を生き生きと描き出していました。
緊張感が張り詰めた舞台上に、歌声が流れホッとする場面も良かったです。安心して観られた5人の女優に、拍手です^_^ (日高のぼる様)


●なにか素敵な映画をみているような舞台でございました。
皆さま素敵でした。
また転換がとっても見事ですよねえ。
毎回惚れ惚れして観ております。
また伺える日を楽しみに!
千秋楽まで駆け抜けてくださいまし!(三遊亭遊雀様)


●素晴らしかったです!
その時代を生きていたわけではないのに、その空気感を強く感じ、市井の人々の強さや戸惑いを追体験するような気分に囚われました。
戦争はついつい日本からの目線で捉えてしまっていたので、他国で起こっていた新たな側面を見ることができた気がして、今までと違う目線を得られました。もっと勉強しようと思います。
あと、個人的にはあの時代の音楽の愛され方や切実さって、今の音楽とまた違う趣があって、それも新鮮で印象に残りました。
行ってよかったです!(下梶谷雅人様)


●エースの女優・・・声優 榊原奈緒子 が出演している
いかようにでも演じ方のある役をしっかり榊原色で演じている
共演の皆さんが瀬田さんを筆頭に芸達者なのでキュットまとまった感じの舞台だった
いつもは難しく重厚な作品が多いキンダーには珍しくテンポ感のあるステージで飽きさせない(中村嘉男様)


●お疲れ様でした!翻訳劇なれど、時代、処、言葉は違えど権力から「緊急事態条項」発せられた背景の中、市井、庶民の普遍的人間の営みを見事に描かれていました。演出初め出演者の皆様の並々ならぬ御努力に敬意を表しますm(__)m(神林哲哉 様)


●キンダースペース アトリエ『パレードを待ちながら』
そういえばここ数年、カナダの作品に唆られている。
去年はルパージュだったり、静岡のペンキだったり、演出含めて刮目作が多い。
そしてこれもカナダ戯曲。 翻訳も構成も原作から変更はあるとのことだけれど、とってもいい戯曲。
主役を作らず5人の女性が、五人五葉に絡み合って、イニシアティブを回しながら話が螺旋状に立ち上がっていく。そう、まさにペンタゴンのスパイラル。歪な五角形のバームクーヘンのような構造で、5人のそれぞれの破滅を、時に哀しく、時に可笑しく、しなやかに描く。カナダらしい、近代多民国ならではの設定。それぞれの戦争。これは日本に置き換えられそうで、置き換えられない。1時間50分。強く牽引するストーリーがあるわけでもないけれど、構成と演出がいいのか俳優さんがいいのか、全く飽きず、集中途切れずあっという間。
終演後は、瀬田さんの お墓参りして(ネタバレ)退出。
お墓の写真撮っておきゃ良かった。(山崎哲史様)


●観て参りました。
女優5人による芝居。
非常に面白かった。
銃後の女たちがそこに生きて、探して、求めて、未知のものと思いがけず出会って
それぞれが不安に直面していました。
だから観ている側も
全てのシーンでその先がもっと見たいし
その答えを知りたい。
知りたい、見極めたい、
と思っているうちにあっという間に1時間45分経って物語は結末を迎えていました。
劇団キンダースペースとしては珍しい試みでしたが、出演者が新鮮な魅力を舞台上に溢れさせているのを見て
あぁー、良い!
妬けるけれど良い!
と熱くなりました
客演を一切交えず生粋のベテラン劇団員で構成されたキャストならではとも言える
ふとした態度や会話から滲み出る微妙な関係性がさらにリアリティを生み出し、物語に深みを増していました。
誰が欠けてもこうならなかったかも。
脚本も素晴らしかった。
全てが絶妙!
あと1日ですがお時間ありましたら是非。
面白い演劇、あります。(松村千絵様)


●劇団キンダースペースのお芝居
見てきました!
「パレードを待ちながら」
女優5人だけのお芝居。
素晴らしかったです。
戦時中のカナダのおはなし。
「銃後」の5人の女性の
それぞれの家族と戦争との関わりの物語。
観客席からの距離が、近いので、
臨場感もあり、
表情のひとつひとつにも
ドラマが感じられ、
目が離せませんでした。
ラジオからの音楽も、印象的♪
日本での戦時中の庶民の生活など、
なんとなく、触れる機会もありますが、
当たり前のことながら、
外国でも、同じように、
「銃後」の生活、家族を待つ女性がいたこと、
あらためて、感じました。(七尾江美様)


●劇団の女優5人でガッツリ取り組んだ作品。
装置はシンプルだけど、アトリエとは思えない広がり、重みを感じました。
女優5人の演技力、作品の構成、演出が作り出す密度が濃い空間だった。(栗田かおり様)


●第二次世界大戦中、カナダで「銃後」を守る5人の女性の物語。
女優さん達の安定した演技と演出家の巧みな演出にひきこまれました。
「銃後」などという、日本では死語にも近い状況を書いた作家は1945年生まれ。...
大戦が終わった年です。つまり状況は知りよしもない世代。
戦争経験者に囲まれて育ち、文化的にも戦後が色濃く残る時代に書かれたものなのでしょう。
そういったものが風化した現代の若者はこの演劇を見てなにを思うのでしょう。
……などということを考えていました。
重厚で格調高く仕上がったよい舞台でした。(栗田章様)


●それぞれに性格も立場も違う5人の女性の物語。
性格、キャラ付けなどというものはもちろんはじめは内側から出てきたものであったにせよ、いつしかそれが自分自身を外から枠にはめてしまう型になってしまう。
こうした方がいいが
こうすべき
こうしなければならない
どうしてこうできないのか
なぜこんな簡単なことができないのか
と転がっていく。
そうした自分で自分を規定しながら
環境の変化の関係性のなかで
変わろうとすること、変わらずにいること
そのせめぎ合いを生きる女性たち
そしてそれを演じる女優たち。
戯曲の中で流れる時間がもう少し感じられると良かったかな。
それから装置の象徴性が直接的過ぎて、舞台上の女優たちの生活とマッチしているようには思えなかった。 (内田健介様)


●  戦時下という非日常で男を待つ5人の女の日常を描く。待つ女と言って思い浮かべるのは僕の場合男はつらいよの寅さんを待つさくら。この場合原因は寅さんの側にあるのだが、銃後を守る女を待たせる原因はもっぱら国にある。男は夫であり息子であり父親だ。待つ女の気持ちはどんな力をもってしても押し殺せない。のたうち回り日常を生きる女たち。大切なのは国家ではなく私なのだ、そして私の男なのだと叫んでいるようだった。憲法発布のこの日、安倍9条改憲に反対する集会が国会前で4万人の参加で開かれた。(斉藤功様)


●地元にステキな劇団があります。
こんなところに芝居小屋が!と地元にいながら、知らない人が多い。
私も教えてもらい数年前から観劇してますが、こんなに近くで、こんな素晴らしい舞台を観れるなんて
高校生の頃に初めて観たテントの芝居小屋みたいで、開演までの時間もワクワクしちゃうような空間。
まさに神聖な場です。
美しいセリフまわしは言葉ひとつひとつがしっかりと伝わってきて、世界に引き込まれてしまいます。
役者さんも皆素晴らしい。
良いものは良いのです。と (マツイミホ様)