96年12月7・8日、さいたま芸術劇場小ホールで行われました。 キンダースペースのメンバーのうち、7名も夏の暑い盛り6日間のオーディションと初秋の2週間のワークショップを経て、出演者に選ばれ、長い期間をかけて作り上げてきました。 キンダースペースでもかつて「逃げ去る恋」という同じE・オニール「皇帝ジョーンズ」を書き直した作品が有りましたが、この作品の主人公はひたすら「逃げる」人物でした。今回もバブル崩壊期に、決してきれいな方法ではなく金を儲けていく男と、その男にからめとられてゆく周りの人間達の、その愚かさ故に自分自身からも「逃げて」いかざるをえない姿を描く芝居でした。 キンダースペースのメンバーも、それぞれ役をもらいました。 瀬田ひろ美は、主人公「朝倉」の生き方に疑問を持ちつつ惹かれてゆき、行動を共にしてゆく、元不動産屋の娘「洋子」。岩戸堅一は朝倉と洋子に騙され、土地をすべて奪われてしまう男「熊田五郎」。 その後、養護院をのっとろうする二人に対抗してくるヤクザの一の子分が泉龍太。養老院長の養女でありながら、何か自分でもわからない思いにつき動かされ、そのヤクザに手を貸そうとしてしまう養女「あきら」を岩川納子。 白沢靖子は養老院の職員。きたむら和恵は、最後に洋子が息をひきとる連れ込み旅館のおばさん。 ラストシーン、洋子を失った朝倉を慕い、いずれ朝倉と同じ道を歩んでいくであろう「男」を村信保。 それぞれキンダースペースではなかなかやらないような役柄で、また新たな一面が見えた気がしました。 お陰様で、お客様もたくさんきていただき、芸術劇場小ホール始まって以来の観客動員だったそうです。 観にいらして下さった方、本当にありがとう御座いました。 これからも、役者個人の客演だけでなく、このようなプロジェクトとしての客演も、どんどん行っていきたいと考えています。 |