劇団キンダースペース 創立30周年記念公演第六弾
フェードル〜あるいは崩れゆく人々〜

 

ペロポネソス半島トレゼーヌにあるテゼーの宮廷。王テゼーの後妻フェードルは生まれながらにヴィーナスの呪いを受け、そのためになさぬ恋の虜になることが運命づけられている。義理の息子イポリットに恋をした彼女はその苦しさから死を思う。イポリットも又、生みの母の血筋を持つ捕虜の娘アリシーに恋をして、その思いを断ち切るため国を後にしようとしている。そこにテゼーの死の報が届き、不倫の思いからは解放されたフェードルはイポリットと話す内、つい彼への思いを口にしてしまう、その時のイポリットの嫌悪の表情に絶望したフェードルはイポリットの剣を奪い、自分を罰するよう迫るが、乳母エノーヌが押し止めその場から連れ去る。そこにテゼーが生きているとの報せが届く。(第二幕まで。全五幕)堅固な道徳観念と鋭い自己省察を備えていながら情念を押え切れないフェードルを、不可避的に進行する運命が襲い、やがてフェードルもイポリットも不幸な死を遂げる