The30’s第8回公演

OLIVE DRAB(オリーブ・ドラブ)
-彼女達の場合-


作:The30’s
構成・演出:原田一樹

              
2005年7月27日(水)〜31日(日) 


アイピット目白

【キャスト】

春日亀千尋
松永麻里
深水みゆき
越智絵理花

加藤奈緒美
内藤加奈子
荒井裕音


タイトルの「OLIVE DRAB(オリーブ・ドラブ)」は各国の軍隊や自衛隊の戦闘服に多く用いられる色の名前【濃緑黄色】です。
今回は、厳しい訓練を乗り越えて24時間を「国」と「国防」に捧げる女性自衛官の姿を描きます。

料金  前売 3500円        当日 3800円
     前売ペア 6600円     当日ペア 7200円
     学生 2800円 
     ※ペア・学生は劇団扱いのみ

◎チケット取扱 
 
The30’s   e−mailyayo-yasu@opt.gate01.com
          チケットぴあ  0570−02−9988 

【パンフレットより】

演出 原田一樹 

 30sは「女性であること」をテーマにして作品を作り続けている演劇集団である。作品造りにかかわるようになってからこれまでに、高校女性教師、ブライダル産業、レズビ アンという世界に題材を取った舞台を作ってきた。その彼女たちが今度は女性自衛官を取 り上げたいといってきた。女性であること、兵士であること。今回の場合、モチーフの展 開はそこに止まらない。第九条。現代の戦場の実態。自衛隊の実態。自衛隊におけるジェ ンダー。軍隊での女性の役割。軍隊組織と男女平等。戦闘の現実。殺すという行為の実際。 命を産む女性という存在とその命をやりとりする戦場の並立。平和のための戦争という矛 盾。戦争のための演習と戦争を放棄した国の軍備という矛盾。

 彼女たちはさまざまな意見を出しあい、現場を訪れ、勉強と取材を重ねて物語を作り上 げている、こんなことが起きたらどうなのだろう、こういうことにはどう対処するのだろ うとシュミレーションとディスカッションを重ね、何度となく戯曲の形にまとめては、雁 首を揃えてどうだと意見を聴きに来る。こっちは思いつくかぎりの批判をして突き返すの だが、じゃ読んでおいてくれと渡される資料や本の山が机の上で荷崩れをはじめる頃には、 そろそろそっちの世界に取り込まれはじめている。にしても今回は上に挙げたようなモチー フの渦が次から次にまき起こって、作品としては溺れる寸前かもしれない。渦をわざわざ 探しているのも巻きおこしているのもこっちなのだが、彼女たちと同様、その渦の元が少 しでもありそうな所は避けては通れないのである。そして、小綺麗にまとめ上げるよりは、 自分でかき回した渦の中で溺れて身悶えをしている方が演劇への姿勢として正しいのだと いう思いもある。

 いずれにしても30sとの芝居造りはかように苛酷なのだが、今回に限らず公演の度、 彼女たちはそれぞれの現場に実在する人を稽古場に連れてきたり、どこかでひき合わせた りする(レズビアンの時はなかったかもしれない)。今回は偶然、アトリエの近くに現役 の陸自の自衛官の方が住んでいらして、彼女たちはつてをたどって稽古の時間に拉致して きた。失礼な言い方だが色々伺って自衛官(もちろん自衛官にも色々な人がいるのだろう) というよりは、その方自身に感銘した。実に客観的で知的なのである。演劇の現場を見た ことも演劇の人たちと話をするのも初めてといいながら、こちらの質問の意味も舞台での 意図も理解し、演劇のあり方にもそれなりに興味を持ってくれた上で、適切な応答をして くれる。正直、組織に身を置く方が自らの組織と自身についてこれほど客観的に分析をさ れているものだとは考えていなかったし、これまでの交友の中で出会ったその方面の方々 の誰とも違った印象であった。こういう点では、毎回30sには感謝している。彼女たち の人を見る目がいいのか運がいいのかは知らないが、こういう出会いもあるから侮れない。

やはり演劇は最後も最初も人間なのだと思うし、それでいいのだと考えている。