-彼女達の場合- 作:The30’s 構成・演出:原田一樹 2005年7月27日(水)〜31日(日) 松永麻里 深水みゆき 越智絵理花 内藤加奈子 荒井裕音
料金 前売 3500円 当日 3800円 【パンフレットより】 演出 原田一樹 30sは「女性であること」をテーマにして作品を作り続けている演劇集団である。作品造りにかかわるようになってからこれまでに、高校女性教師、ブライダル産業、レズビ アンという世界に題材を取った舞台を作ってきた。その彼女たちが今度は女性自衛官を取 り上げたいといってきた。女性であること、兵士であること。今回の場合、モチーフの展 開はそこに止まらない。第九条。現代の戦場の実態。自衛隊の実態。自衛隊におけるジェ ンダー。軍隊での女性の役割。軍隊組織と男女平等。戦闘の現実。殺すという行為の実際。 命を産む女性という存在とその命をやりとりする戦場の並立。平和のための戦争という矛 盾。戦争のための演習と戦争を放棄した国の軍備という矛盾。 彼女たちはさまざまな意見を出しあい、現場を訪れ、勉強と取材を重ねて物語を作り上 げている、こんなことが起きたらどうなのだろう、こういうことにはどう対処するのだろ うとシュミレーションとディスカッションを重ね、何度となく戯曲の形にまとめては、雁 首を揃えてどうだと意見を聴きに来る。こっちは思いつくかぎりの批判をして突き返すの だが、じゃ読んでおいてくれと渡される資料や本の山が机の上で荷崩れをはじめる頃には、 そろそろそっちの世界に取り込まれはじめている。にしても今回は上に挙げたようなモチー フの渦が次から次にまき起こって、作品としては溺れる寸前かもしれない。渦をわざわざ 探しているのも巻きおこしているのもこっちなのだが、彼女たちと同様、その渦の元が少 しでもありそうな所は避けては通れないのである。そして、小綺麗にまとめ上げるよりは、 自分でかき回した渦の中で溺れて身悶えをしている方が演劇への姿勢として正しいのだと いう思いもある。 やはり演劇は最後も最初も人間なのだと思うし、それでいいのだと考えている。 |